2001年に公開されてたちまち大ヒット映画となり、今ではスタジオジブリでトップの成績を誇る
『千と千尋の神隠し』。
ジブリファンのみでなく、日本人であれば知らない人はいないほど有名な映画ですよね。
しかし私たちにとってなじみ深い映画だからこそ、都市伝説も多い『千と千尋の神隠し』。
そこで今回は、ジブリファンでもなかなか知らないであろう、都市伝説についてお話ししたいと思います。
湯女の都市伝説‼︎千と千尋の神隠しのテーマは?
人気映画だけに、色々と憶測や都市伝説が多い『千と千尋の神隠し』。
数々の都市伝説の中に、人間界から別の世界に紛れ込んだ千尋が働く世界は『夜の店』であったというものがあります。
表面上では、千尋が働く『油屋』はその世界の魔女である湯婆婆が作った神々のための温泉施設という設定。
千尋は『湯女(ゆな)』という立場で働くことになりますが、この湯女とは江戸時代にも存在した夜のお店の女性を指すのです。
また千尋は、湯婆婆に名前を取られて
『千』
という名前になりますが、それは夜の店で言う
『源氏名』
のようなものと考える人も少なくありません。
『千と千尋の神隠し』監督の宮崎駿自身も
『今の日本は風〇産業に似ている』
とコメントしていたくらいなので、そうしたメッセージが隠されていても特段不思議ではないのです。
湯婆婆と銭婆は『悪役』の設定だった?
口が悪く横棒な性格ながらも、スタッフ想いの湯婆婆。
その姉で湯婆婆よりは聞き分けが良く、優しく穏やかな性格の銭婆。
彼女たちも千と千尋の神隠しにおいて重要な役割を担っているのは言うまでもないことでしょう。
そんな2人ですが、なんと初期構想では『完全な悪役』として登場する予定だったのです。
そして、千尋によって倒される設定だったとの都市伝説があります。
まず湯婆婆を倒し、物語の黒幕的存在だった銭婆も倒すというストーリー展開。
当初はこのまま映画製作を進める流れだったのですか、これでは感動的なストーリーと言うよりもむしろアクション映画になってしまう…
そんな懸念に加えて、このプロセスを採用すると上映時間が3時間を超えてしまうということで、泣く泣く現在の形に落ち着いたとのこと。
また、ここでカオナシを登場させたことによって物語の変更が容易になったとも言われています。
結局は幻となった、初期構想での『アクション版』。
とは言え、現在のストーリーでなければあれほどの感動作にはならなかったのかもしれません。
最初は『千とちさとの神隠し』だった?
今でこそ『千と千尋の神隠し』という名前で定着しているものの、実はこの映画、当初のタイトルは
『千とちさとの神隠し』になる予定だったとされています。
その『ちさと』ちゃんとは宮崎駿の知人の娘さんのことで、家族ぐるみで親交が深かったようです。
そんな流れから映画名は
『千とちさとの神隠し』にしようという流れになりました。
しかし、作品モチーフ的に問題アリということで、あえなく『千尋』に変更されたという話。
こんな経緯からも『夜のお店』が描かれていたという信憑性は高そうですよね。
『2人の母親』
実は『無気力な少女』の成長物語という側面を持った、『千と千尋の神隠し』。
周りへの関心が薄く消極的な千尋を観察すると、確かに現代の子供に通じるものがあります。
『このまま未来に期待できない』と言ったジブリ側からの暗黙のメッセージが聞こえてきたそうです。
しかし、この状況を作った原因は子供だけでなく、保護者である両親にもあるのではといった示唆も含まれている様子。
都市伝説によると、千と千尋の神隠しは
『2タイプの母親』を登場させて現代社会に警鐘を鳴らしていると言います。
千尋の母。
まずは千尋の母。
夫とはしっかりコミュニケーションを取ってはいるものの、娘の千尋には極めて冷淡な態度で接することから
『一種のネグレクト(無視)ではないか』と揶揄されています。
坊の母親である湯婆婆
それとは対照的に、坊の母親である湯婆婆。
彼女はこれでもかと言うくらい、
息子の坊を甘やかしています。
映画の終盤で坊は親離れを果たしますが、それ以前の性格はまるで正反対でしたよね。
子供の発育や自我の発達にそれぞれ影響を与えた2人の母親。
彼らを登場させることで
『これでは将来、子供が大変なことになってしまう』
と、スタジオジブリは『千と千尋の神隠し』を通じて伝えたかったのではないのでしょうか。
『電車の乗客』はなぜ黒い?
ハクが盗んだ契約印を返し、彼を許してもらうために千尋はカオナシや坊たちを連れて銭婆の元へ向かいます。
そこに行くまでは電車を使うのですが、その電車や乗客は少し異様でしたよね…
鉄道自体に行きはあっても帰りのルートはなく、乗客の体は真っ黒で顔が分かりません。
都市伝説によると、電車を利用する乗客たちは
『人間界で自殺を考えている人たち』だと言われています。
途中で駅があって乗客が降りるのは
『自殺を思いとどまって再び生きることを決意した』という意味に取れるようです。
あくまでも都市伝説ですが、使命感を心に持ちながら電車に乗る千尋の周りでそんなことが起きていたとは…なんだか怖いですよね。
『幻のラストシーン』が存在する?
さて、千と千尋の神隠しの『ラストシーン』と言えばなにを思い出しますか?
家族揃って人間界に戻り、葉っぱで荒らされた車を片付けて引っ越し先の新しい家に向かうというシーンはおなじみですよね。
ところが、映画公開の直後。
千と千尋の神隠しを見たジブリファンたちは
『別のシーンがあった』と主張しているのです。
彼らに言わせると、千尋の母が父に『もう引っ越し業者さん来てるわよ』と文句を言い、引っ越し業者からも
『時間に遅れると後で困る』と叱られていたとのこと。
そして千尋は近所を一人でさまよい、
ハクが神様となっている川をぼんやり見つめていた…
そんなラストがあったと言うのです。
さらには
『千尋が転校した学校にハクらしき少年がいた』
『確かにこの目で見た』
といった視聴談が相次ぎ、
都市伝説になっているほどに…
そんな『幻のラストシーン』ですが、残念ながらDVDやロードショーでは観られないため、裏話として尾ひれが付いていったので今では都市伝説とされているのです。
ハクの八つ裂き説
都市伝説で度々騒がれる、千と千尋の神隠しのハクの八つ裂き説。
この説がどこから生まれたのか検証していきましょう。
まず作中において、湯婆婆と対峙するシーンでハクは
『お前は八つ裂きになる度胸があるのか?』と脅されます。
そこでハクがどんな返事をしたのか…
観ることはできません…
ただし都市伝説によれば、千と千尋の神隠しのストーリーを追っていくと
八つ裂きにされる運命を受け入れたと捉えることができるそうです。
ハクはなぜ八つ裂きとなる宿命にあったか?
千と千尋の神隠しの物語から、そのいきさつについて考えてみましょう。
『千と千尋の神隠し』には何故、八つ裂きの刑があるのか?
この『千と千尋の神隠し』の都市伝説を受けて気になるのは、どうしてハクが
八つ裂きになるような宿命を背負ったのか…ということ。
千尋が絶えず助けるスーパーマン的存在であった彼が、一体なにをしたというのでしょう。
都市伝説によると、そのきっかけは
湯婆婆の姉である銭婆の契約印を盗んだことから始まります。
湯婆婆の姉(銭婆)は映画の舞台から離れた場所で穏やかに暮らしていますが、姉妹の仲は決して良いとは言えません。
そんな中、妹の湯婆婆の弟子が大事な貴重品を盗みに来るとなれば、誰かからの命令であれそれなりの裁きを受けなければならないのです。
また、千尋に対してハクは
『両親と一緒に千尋をあっちの世界に戻してあげたい!』
と言う気持ちが芽生えて銭婆に頭を下げる結果となったため、それを含めた罰それが八つ裂きとも言えるでしょう。
銭婆はハクを許したが、それでも運命は変わらない…
千尋は坊やカオナシたちを連れて、先に銭婆のところに向かいます。
銭婆は湯婆婆と異なり、優しく穏やかな性格だったため
比較的あっさりと千尋のことを許し、お茶までご馳走するほど打ち解けていましたね。
しかし、彼女はハクの運命について、千尋にこのように告げたのです。
『あなたを助けたいけど、私はなにもしてやれない。
それがこの世界のルールだから。
ハクや両親のことも、あなたが何とかするしかない』
『この世界のルール』と言っている時点で、たとえ銭婆がハクを許したところで何も進展はしない。
つまり、ハクは八つ裂きになる運命を受け入れるしかないとの意味に取れますよね。
しかし、ハクが千尋を迎えに白竜となって銭婆のところに現れたとき、銭婆は次のようにも言っています。
『白竜、あなたのしたことはもう咎めません。
そのかわり、その子をしっかり守るんだよ』
八つ裂きの都市伝説に対し、ジブリ側の見解は?
このように都市伝説が後を絶たないハクの運命。
これに対し、ジブリ側にはどのような意図があったのでしょうか?
実は『千と千尋の神隠し』が世に出た当初、ジブリの公式ブログから次のような記述が見つかった。
『ルールには潔く従うべきと言う世界観から、ハクは湯婆婆から八つ裂きの刑を受ける覚悟があった』
だとすれば、もう望みはないのかもしれない…。
千尋のヘアゴムの輝きは『ハクの涙』?
そんな千と千尋の神隠しですか、『ハクの八つ裂き説』を裏付けるさらなる都市伝説もあります。
千尋は銭婆の家で、宝石でできたヘアゴムを作ってもらいます。
それで髪を結び直してそのまま現実の世界に戻っていくのですが、その際にこのヘアゴムが妙に光っているのです。
これは都市伝説だと、その輝きは
『八つ裂きになったハクの涙ではないか』と言われています。
あくまでも都市伝説ですが、本当だったら切ないですよね…
以上、千と千尋の神隠しの都市伝説のでした。
これだけの都市伝説や憶測が寄せられるとはさすが話題作ですね。
今度は都市伝説を楽しみながら千と千尋の神隠しを観たいものです^_^