よくテレビで見る「差押え」。
日本のドラマより韓流ドラマでよく目にします(笑)
設定がそもそも「資産家」と「お金に困っている人」のラブストーリーがほとんどですからね。
家具などの家財道具にペタペタと目立つシールを貼られて…。
ですが実際にはそのような事は行われておらず、生活必需品である家財道具に関しては禁止財産とされています。
家具や冷蔵庫や洗濯機などの家電はほとんどそのままということになりますので個人の生活には影響はありません。
「差押え」の対象になる物
- 給与
- 銀行預金
- 不動産
- 66万円以上の現金
- 自宅にある動産(貴金属や有価証券)
- 車
給与
勤務先へ「差押命令正本」の通知が送付されます。
この時点で勤務先に借金があることがバレてしまいます。
もちろん勤務先が特定されなければ給与の差押えはありませんが、バレる可能性はあります。
例えば、会社を退職した場合、元の勤務先は裁判所にその旨報告してそれで終わりです。
しかしもし転職した場合、新しい勤務先で色々な書類を作成しますので、税金の差押えの場合はすぐにわかってしまいます。
全額差押えの対象!?
給与の全額を差押えられるわけではありません。
給与の差押えには上限が決まっています。
税金を滞納した場合の差押えと私的な債務(借金やローン)の差押えでは異なります。
✔私的な債務の場合
月の手取りの1/4までしか差押えられません。
しかし、月の手取りが33万円を超えていると手取りの1/4を比較して、多い方を差押えの対象となります。
給与の手取りが48万円の場合だと…
- 48万-33万=15万円
- 48万円の1/4=12万円
となりますので、このケースですと15万円が差押えられます。
ボーナスや退職金も差押えの対象になります。
✔税金を滞納した場合
「都道府県民税」・「市町村民税」は、給与から特別徴収されて支払うことが多いかと思いますが、ワタシの場合今年から特別徴収になりました。
職場と同じ市内の人は給与から天引きされていたのですが、ワタシは職場と違う市に住んでいたため天引きされることなく自分でコンビニに用紙を持って行き支払っていました(一般徴収)。
- 一般徴収
郵送で自宅に納税通知書が届きます。
年4回に分けて納付するか、年4回分を一括で納付して税金を納めます。
- 特別徴収
会社が給与から毎月徴収し個人の代わりに納付します。
これらの税金が差押えとなった場合
差押え可能金額=収入-差押禁止額(国税徴収法76条1項1号~5号)
滞納処分では給与が少なければ差押えられることはありませんが、強制執行では
税金は自己破産の手続きを行っても免責されません。
銀行預金
銀行や郵便局の口座を持っている場合は全額差押えの対象となります。
普通預金だけでなく定期などの色々な預貯金から差押えられます。
子ども手当や年金、生活保護は行政からの公的給付金ですので、これらの給付金を差押えすることは法律で禁止されています。
ですが、これらが預金口座に入金された場合、預金から差押えを行うことは可能ですので注意しなければなりません。
(入金された時点で預金債権に変わるため)
車
ローンを完済している車や現金で一括で購入した車に関しては必ずしも差押えの対象になるとは限りません。
車の使用目的や公共交通機関が充実していない地域ですと車がなければ生活が困難になりますので、このような場合は差押えの対象にはならないようです。
それに加え、対象の車の売却評価額が20万円以上でなければ対象になりません。
「差押え」は現金に替えることを目的としていますので、価値の低い財産は対象にはなりません。
「差押え」の対象にならない物
一 債務者等の生活に欠くことができない衣服、寝具、家具、台所用具、畳及び建具
二 債務者等の一月間の生活に必要な食料及び燃料
三 標準的な世帯の二月間の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭
四 主として自己の労力により農業を営む者の農業に欠くことができない器具、肥料、労役の用に供する家畜及びその飼料並びに次の収穫まで農業を続行するために欠くことができない種子その他これに類する農産物
五 主として自己の労力により漁業を営む者の水産物の採捕又は養殖に欠くことができない漁網その他の漁具、えさ及び稚魚その他これに類する水産物
六 技術者、職人、労務者その他の主として自己の知的又は肉体的な労働により職業又は営業に従事する者(前二号に規定する者を除く。)のその業務に欠くことができない器具その他の物(商品を除く。)
七 実印その他の印で職業又は生活に欠くことができないもの
八 仏像、位牌その他礼拝又は祭祀に直接供するため欠くことができない物
九 債務者に必要な系譜、日記、商業帳簿及びこれらに類する書類
十 債務者又はその親族が受けた勲章その他の名誉を表章する物
十一 債務者等の学校その他の教育施設における学習に必要な書類及び器具
十二 発明又は著作に係る物で、まだ公表していないもの十三 債務者等に必要な義手、義足その他の身体の補足に供する物十四 建物その他の工作物について、災害の防止又は保安のため法令の規定により設備しなければならない消防用の機械又は器具、避難器具その他の備品
出典元:Wikibooks
三の「 標準的な世帯の二月間の必要生計費を勘案して政令で定める額の金銭」についてですが、
「民事執行法施行令第一条に政令で定める額は、六十六万円とする。」
とありますので、66万円ということになります。
差押えをされてしまうと生活するのが難しくなってしまいますので、そうならない為にも相談窓口や専門家に相談されるのがベストです。